40歳の寄り道

某月某日。

三人分の朝食

平日の朝、夫の分の朝食まで作ってしまった。夫が出社したのを確かに見たはずなのに、なんとなくぼんやりしていて、私と息子と夫、三人分の卵をフライパンに落として目玉焼きを作り、三人分のソーセージを焼いていた。私がやっていることの違和感に気がついたのは、目玉焼きが出来上がり「今日は黄身が割れずに綺麗に作れたな。硬さもちょうど良い」なんて思っている時だった。あれ、目玉焼き3つ作る必要ないじゃんって。仕方ないのでラップして、私の昼ごはんにする。

息子、少し咳が出ている。

私が子どもの頃、風邪を引くと、祖母は「こういうのは症状が軽いうちに治した方が良い」と言い、甘酒、りんご、ねぎ、蜂蜜大根、生姜シロップ、ヤクルトなど、風邪に効くと言われているものを何でも食べさせられた。あと祖母が常備している土のような苦い漢方薬も飲ませられた。どうしても苦くて、オブラートに包んでグッと飲み込んだ。あの漢方薬はなんだったんだろう。

「あとは絶対治ると信じて、暖かくして寝ること」

そう言って、祖母は私に布団をかけてくれた。翌朝、起きると本当に治っていたのが不思議だった。

私も息子に風邪に効くと言われているものをいっぱい食べさせる。甘酒で煮込んだ野菜たっぷりのポタージュ、ネギのホットサラダ、湯豆腐…。パイナップル100%ジュースが咳に効くというネット情報も見つけた。パイナップル100%ジュースは、なぜだか1週間前の私が生協で注文してくれていた。はちみつと塩胡椒を加えて子に飲ませる。

「あとは絶対治ると信じて、暖かくして寝ること」

昔、祖母が言っていたセリフをそのまま息子に言う。なんとなく、治ると信じることが一番、効果があるような気がしている。