40歳の寄り道

某月某日。

ドアを開けると(夢日記)

夢を見た。久しぶりに内容をはっきりと覚えている夢だった。

夜中。家に帰ってくると、夫と息子がゲームをやっていた。ロボット同志を戦わせるゲームだ。二人にいくら話しかけても返事がない。

「ねえ、ちょっと聞いてるの」

聞こえないふりをしているのか、聞こえないふりをしているのか、夫と息子は二人だけにしかわからないような言語を話しながらゲームをやっている。寂しさを感じ、ふと実家に帰ろうと思い立ち玄関のドアを開けると、まるでどこでもドアのように遠く離れた私の実家と繋がっていて、父と母が出迎えてくれた。

「珍しいな。こんな遅くにお前が突然帰ってくるなんて。何かあったのか」

と父。

「ほっときな。この子だってそういう時くらいあるでしょうに」

と母。

「ごめんね、ちょっと疲れちゃっただけだよ」

と私は言い、2階の部屋にこもる。私は適当な楽譜を広げ、部屋にあった電子オルガンを弾く。鍵盤を叩いても音が出ない。部屋は薄暗く、電子オルガンのランプだけがぼんやりと浮かんでいる。外が騒がしい。

部屋のドアを開けると、今度はパーティー会場。テレビで見たことのあるいろんな芸能人がいる。テレビ局も来ている。舞台の上で、マキハラさんが歌っているが、私の知っているマキハラさんの声ではない。ただスピーカーからマキハラさんの曲が流れていて、マキハラさんに見える何者かが、明らかにマキハラさんではない声で歌い続けている。

(何、この状況…)

みんなが踊ったり歌ったりおしゃべりしたりしているのを、ぼーっとしながら眺めていると突然マイクを向けられた。

「さいとうきいろさん、何か一言お願いします!」

「何も話すことはありません」

私の声がマイク越しに会場に響き渡り、音楽が停止し、みんなが静まり返る。男性が駆けつけてきて私の頭を鷲掴みにして無理やり下げさせる。

「ほら、お前、空気悪くしたんだから謝れ」

「申し訳ございませんでした」

わけもわからないまま謝罪し、恥ずかしくなった私は、部屋を出る。部屋を出た先に長椅子があり、そこに横になる。

目が覚めた。私は、誰かの夢日記を読むのがとても好きなんだけど、自分で文字にしてみると何故か微妙だなと感じてしまう。

今日は生理痛と貧血がひどい。荒波の上を船で突き進んでいるような感じ。

「私は必要最低限のことだけして一日休んでいたいから、一人でドライブでもしてきたら」

と声をかけた。

「じゃあ、そうさせてもらうよ。俺の昼食はいらないから」

そういって、夫は一人で出かけて行った。夫を送り出したあとで、夫の昼食は作らなくてよくても、息子の昼食を作らねばならないことに気がついた。どこかに買いに行くのもしんどいし、適当におにぎりでも作るか。