40歳の寄り道

某月某日。

犬の見る景色

午前5時、犬がえづく音でパッと目が覚める。息子の通う小学校はお弁当の日で、寝坊しないようにと気をつけていたが、スマホのアラームより早く犬が私を起こしてくれた。

うちの犬は、教えていないのにトイレシートに吐いてくれるのがとても偉い。実家のヨークシャーテリアは、なぜか必ず私の膝の上にやってきて吐いていた。普段はあまり私に懐かない癖に、吐く時だけ膝の上に飛び乗ってくる。それはそれで可愛い。

夫は、犬の吐いたものを片付けて再び寝る。私は、紅茶を飲みながら、息子のお弁当と朝ごはんを作る。20分後に夫が再び起きてくる。

今日の息子の朝食は、トーストに、目玉焼き、ハム、トマト、コーンポタージュと、まあよくある朝食。私の朝食は、トーストにマーガリンを塗り、食べるラー油をほんの少し乗せたもの。ガーリックトーストみたいな感じ。でも全然違う気がする。ほんの少ししか、食べるラー油を乗せていないのに朝から口の中がヘビーな感じ。

最近、うちの犬は、小学生によく吠えられる。窓の外を眺めていると、下校中の小学生が「わんわん、わんわん」と吠えてくるのだ。犬も「やんのかコラ」ってな感じで、「わんわん」と吠え返す。尻尾を立ててぶんぶんと左右に激しく振っているので、嬉しいのかもしれない。しかし犬の鳴き声はうるさいので、今日は小学生の下校時に窓の外に行かないように、遊んで気を紛らわすことにした。16時、犬とおもちゃで引っ張りっこをして遊んでいると、窓の外から「犬ー!出てこーい!」と子どもの声がした。犬はピクッと反応し「呼ばれたので行きます!」って感じで、遊びを中断してスタスタと窓際へ。いつものように、「わんわん」と吠え合う小学生と犬。

「わんわん!」

「わんわんわんわん、ピィーヤ、オッパピー!」

突然、出てきた小島よしおに思わず笑ってしまった。

薔薇の花柄のカーテンに遮られ、犬がどんな景色を見ているのか私にはわからない。いつも吠えている小学生が、どんな子かもわからない。なんとなくカーテンを開けて、邪魔してはいけないような気がする。

それにしても、窓が汚い。拭いても拭いても、犬の濡れた鼻で汚れてしまう。