40歳の寄り道

某月某日。

広報委員と言ってもただの主婦

PTAの広報紙の原稿を任されているのに、まだ書けていない。頭の中に散らばった、一つ一つのアイデアがつながらず文章にならない。

息子が小4のとき以外は、ずっと広報委員をやっていて、いままで学校行事の紹介や、おすすめの書籍、子育てなど原稿もたくさん書いてきたのに、リード文や編集後記、タイトルの付け方さえも、いまだにどうやって書くんだっけと、忘れてしまう。広報委員と言っても、ただの主婦なのだから仕方がない。

息子が来年から通う予定の中学校のPTA広報委員長さんとは、何故だか長い付き合いで、

「中学校入っても、いっしょに広報委員をやりましょうよ!」

と、この間、会った時に笑顔でお願いされた。中学校の広報も忙しそうだ。中学校まで遠いし、できれば頻繁に出入りなどしたくないな、と思う。が、「いっしょにやりましょう」と言われるのは悪い気はしない。

そんなことより、原稿が書けない。書く気にならないというのが正確かもしれない。

こんな時に限って、ジャパネットのカタログを眺めたり、インスタグラムに転がっている主婦たちの描いたコミックエッセイを読んだりしてしまう。その後、テーブルが散らかっているのが気になり、片付け始める。小学校から配られたプリントが、テーブルの隅っこに積み重なっていて、必要のないものをびりびりと破いて捨てていく。このプリントを書いた人も、すごく悩みながら書いた文章かもしれない。私の書いた文章も、さっと目を通して、或いはそれすらもされず、こうやって捨てられていくのだろう。心に残るような広報紙も正解なら、たいして読まれずに捨てられていくものも自然で、ある意味、広報紙としての正解なのかもしれない。

原稿を書く気にならないまま、缶ビールを飲み始める。金曜の夜は、ビールを飲みながら、夫に主婦の夢や野望を聞いてもらう日だと決めているのだ。綺麗になったテーブルがとても心地良い。