40歳の寄り道

某月某日。

お題が苦手だ

「何かお題をちょうだい。君が言ったお題で、YouTubeを検索して面白い動画を探そうと思う」

と夫が言う。

チキンラーメン

「お腹が空くから嫌だ」

インドカレー

「それもお腹が空く」

今まで何度も、夫にお題を与えてきたが、私の出すお題は夫の好みには合わないみたい。ハロプロとか、競技ダンスとか、豪華客船とか、私の趣味に夫を引き摺り込むチャンスかもしれないとも思ったが、検索しても動画を再生するとは限らない。何故か、夫は関連動画に出てきた車の動画を見たり、メタルバンドの動画を見たりしてしまう。

ラジオから流れてきて「これは!」と思った曲を夫に検索させるが、やはりピンと来ないみたい。こういうのはラジオから流れてくるから、不意打ちを喰らったような感じになるのだ。

私は、スマホで、棚に同じものを三つ並べて消すゲームをやっていた。今まで順調にクリアしていたが、いよいよクリアできなくなってきた。いろいろと動かしてみて、クリアさせる気がないのだとも思う。わかってる、課金してアイテムを使えば簡単にクリアできることくらい。しかしそれじゃ面白くない。頭を使ってクリアしたい。次はいけるんじゃないかという可能性を信じている。

このゲーム、やめたくてもやめられなくて困っている。このゲームをやめればもっと時間を有意義に使えるのではないか。しかし、なにが有意義な時間なのか、よくわからない。俳句を詠むとか、読書をするとか、いくらでも思いつくけれど、それが有意義なのかなんなのかいまちちピンと来ず、スマホの画面をひたすら指でなぞっている。

夏休みがあと一週間で終わる。私は結婚してからずっと専業主婦で、やり残したことなんて、いくらでも時間があるのだからいつでもできるはずなんだけど、夏休みが終わるのはなんだか寂しい。ひぐらしの鳴き声、日没のはやさ、テレビから聞こえてくる24時間テレビの宣伝。うちの子は、学校の宿題を終わらせることができるだろうか。