ある日、ふと立ち寄ったペットショップで売られていたミニチュアダックスフントに一目惚れした夫。
「これからは犬を飼う前提で暮らします」
と、宣言し部屋の模様替えを始めた。本棚を空っぽにして別の場所に動かし、不要な物をどんどん処分し、物で溢れていた家の隅っこにケージを置く場所ができた。犬が噛見そうな充電ケーブルや、誤って飲み込む可能性のある小さなものも全て片付けた。私の出産の時はそこまでしてくれなかったのに、犬を飼いたいという夫の強い気持ちがすごい。犬の名前も考えていた。
しかし夜になり、夫はビールを飲みながら急に冷静になった。
「子どもを私立中に入れようとしているのに、犬を飼ってやっていけるのだろうか」
そしてこの前、買ってきた出雲のるるぶを眺め
「今、犬を飼ったら出雲に行くのはしんどいだろうなあ」
と、言った。綺麗に片付けケージを置く予定になった場所で、夫は体育座りをしビールを飲んだ。そして手に持っていたスマートフォンでペットショップの公式インスタグラムを眺めた。そこには夫が一目惚れしたダックスフントの写真が掲載されていた。
「でも、可愛いんだよ、この子。めっちゃ可愛いんだよ…」
もうメロメロ状態。夫も私も、幼い頃から犬と暮らしていて犬が大好き。結婚する前は、「いつか一緒に犬を飼いたいね」なんてお互いに呑気に言っていた。そんな夫婦だからきっと我が家に犬が来る日は遠くないと思う。でもペットを飼うことって、たくさんの責任を伴いすごく大変なことだ。落ち着いて冷静に、冷静になって考えよう。
