41歳、黄桃記念日

某月某日。

君と僕と鹿と猿

帰省。

マッキーこと槇原敬之の『penguin』が、夫の運転する車の中で流れている。渋滞を避け、この先、ちゃんと抜けられるのか、対向車が来た時、すれ違えるのか不安になるような人気のない謎の峠道へと進んでいくのは、夫の得意技だと思う。

誰も許してくれないなら 一緒に逃げようって泣いたよね
南極なら君と僕とペンギン 悪くないねってちょっとだけ笑ったよね
(『penguin』槇原敬之)

「誰にも許されないような恋をして、逃げなくちゃいけないとしたら、峠に逃げるのもありだよね」

と私が言うと

「峠なら君と僕と鹿と猿だね」

と夫が言った。

峠は、南極ほど素敵な場所ではないけれど悪くないと思う。よく考えると恋って峠のようだ。峠のスリルと、運転手のスムーズなハンドル捌きにときめいたり。でも、ペンギンは怖くなさそうだけど、鹿と猿は襲ってきそうでちょっと怖いな。「峠なら君と僕と鹿と猿」、ロマンもへったくれもない。私は20年以上マッキーのファンをやっているくせに、耳に残る心地よさだけで彼の作る音楽を選び続けてきたから、歌詞の意図を全く理解していない気がする。けれど「南極なら君と僕とペンギン」というフレーズを産み出したマッキーはすごい。「君と僕と鹿と猿」じゃだめだ。

実家。

今年3月に、90年代マッキーを中心としたコンサート『TIME  TRAVELING TOUR 2nd Season』を鑑賞し、いろんな過去を思い出してしまった私は、何かに火がついたように昔のFC会報や、コンサートグッズを漁っていた。どうしても、2009年のコンサートTシャツが見つからない。

色々と探している途中、1999年の日記帳が出てきて驚いた。10代、20代の頃の、愛だの恋だの書いた日記帳なんてとっくの昔に全て捨てたはずだったのに、この年のだけなぜか残っていた。高校合格と同時にマッキーのファンクラブに初めて入会した年(私は金銭的余裕がなかったり、長期入院していたりで2回会員番号が変わっている)。色々あって、初めて行こうとしたコンサートが中止になったりもしたけれど、それでも私は、たくさんの人に恵まれて、勉強も部活も上手く行って、今までの自分からは想像できないくらい充実していた一年だった。

一冊のまっさらなツバメノートが見つかった。

これは、おそらく2008年か2009年に購入したものだと思う。このノートに、数年後どういう自分になりたいかとか、やりたいこととか書いていこうと思う。それとも、また手書きの日記でも書こうか。こういうのは、綺麗なまま保管しておかず、あとで読み返して楽しいようなものにしていきたい。

1999年の日記帳。字が汚くて中身は見せられない。

FC会報。探せばまだ出てきそう。