41歳、黄桃記念日

某月某日。

鬱を書き殴る、私の鬱の本

 朝、基礎体温を測り忘れただけで酷くブルーな気分になった。自分の体のことはきちんと把握しておきたいのに。今日あたり、ずっと低温で留まっていた折れ線グラフがぐぐーんと上がりそうな気がしたのに。薬は飲み忘れたらすぐ飲めば良いけれど、基礎体温は布団から出てしまったら、もう正確な基礎体温が測れないのだ。

 朝食を作りながら、昔の嫌な思い出ばかりが頭の中をかけめぐる。あのとき、本当はこうしたかったのに言えなかった気持ちとか、人に言われて嫌だったこととか、自分が人にしてしまって、ものすごく後悔していることとか。目玉焼きの黄身に火が通っていくのを眺めながら消えたい気持ちになっていた。ってか、なんでこんなこと考えているんだ。基礎体温、測り忘れてしまったけど、絶対高温期になっているな…。ああ、どうして今日に限って測り忘れてしまったんだろう。

 頭の中、ごちゃごちゃで、少しだけ泣きそうな気持ちになりながら息子を起こす。その後、犬に餌を与える。私は、婦人科で処方された漢方薬と、いつも飲んでいるサプリメント、それからキューピーコーワゴールドを飲んだ。どんなに消えたくても、生きるのだ。

 『鬱の本』(点滅社)を読んだ。84人の執筆者が「鬱のときに読んだ本」を紹介している。私が鬱のときに読んだ本ってなんだろう。中学生のとき、友達がいなかったわけじゃないけどいつも孤立していて、惨めで辛くて、休み時間になると逃げるように図書室に入り浸っていた。そのとき、よく読んでいたのは『山田かまちのノート』山田かまち著(ちくま文庫)だった。どんな内容だったか思い出せないんだけど、今だったら厨二病なんて言われてしまいそうなほど赤裸々に書かれた詩にものすごく惹かれたのを覚えている。他にも山田かまちの本は何冊も読んだ。山田かまちが幼少期に描いた絵も躍動感があって好きだった。山田かまちは17歳でエレキギターの練習中に感電死したということが、中学生の自分にはとてもショックだった。何かの嘘なんじゃないかって。生きて欲しかったなあと思う。

 息子が登校した後、がんばって犬の散歩に行った。本当は行きたくなかった。うちの犬の散歩は午前と午後、合計1時間30分くらいかかる。この時間があれば、もっといろんなことができるのになあといつも思う。でも、犬と一緒に歩いているうちにだんだんと楽しい気分になってくる。うちの犬は目をキラキラさせながら、本当に楽しそうに、いろんなにおいを嗅ぐなあ。キューピーコーワゴールドが効いてきたのか、帰宅後は、少しだけポジティブに過ごすことができた。何か小さなことをこなすたび、自分を褒めてあげながら一日を過ごした。

鬱の本

鬱の本

  • 点滅社
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