41歳、黄桃記念日

某月某日。

【40代夫婦の会話】まだ生きてるよ

 夫と一緒に、葬式と墓の最新事情を紹介するテレビ番組を見ていた。移動式の葬祭場や、AIで参列者に話しかける遺影などが紹介されていた。「これはあり得ない、こういうのは面白い」などと、二人でぐだぐだと話していた。そして、なぜか私が死んだら…の話になった。夫は笑いながら言った。

「君が死んだら、棺の中に花の代わりに、たくさんの饅頭を入れてあげるよ。出棺のときは、君の好きな槇原敬之の『まだ生きてるよ』を流してあげる。君は死んでしまっても、どこかで生きているような気がするからね。それで、最後の別れのときに棺の窓を開けると、饅頭が食い荒らされているんだ。ちょっとしたホラーだね」

「ぎゃははは、なんだそれ」

 槇原敬之の『まだ生きてるよ』を知らない人のために、超簡単に説明すると、クリスマスシーズンに40度ちょいの熱を出して寝込んでしまう失恋ソング。とても盛り上がる曲なのでぜひ聞いてほしい。

 夫は死んだら出棺のときにTM NETWORKの『Get Wild』を流して欲しいのだとか。きっと『Get Wild』を流しながら夫の遺体を乗せた霊柩車が、タイヤを切り付けながら暗闇を走り抜けるのだろう。カーチェイスでもするのか。『シティハンター』知らないけど。

 でも、まだまだこんな風に二人で馬鹿な話をしていたいから、長生きしてね。私も長生きするから。ヘッドフォンをして、槇原敬之の『長生きしよう』を聴いている。

頼むから一緒に長生きしよう
(『長生きしよう』槇原敬之)