「鍬を持つ手が震えてる、鎌を持つ手が震えてるって、麦畑で殺し合いでもするのか？」
テレビからオヨネーズの『麦畑』という曲が流れてきて夫が言った。およねとまっつぁんが鍬と鎌を持って殺し合いをする様子を想像すると、とてもおかしい。
「いや、これは殺し合いの歌ではなくて麦畑で愛の花を咲かせる歌だよ」
と、笑いながら教えてあげた。
どこでこの曲を覚えたのかは、よくわからないのだけど高校生の頃、カラオケに行くと『麦畑』を友達とよく歌っていた。歌詞に出てくるおよねと、まっつぁんをお互いの名前にして。聴いている人もゲラゲラ笑ってくれるのが、なんだか面白くて、安室奈美恵だとか、モーニング娘。だとか当時流行っていた曲の間に、ウケ狙いで入れていた。どういう女子高生だよ…と思われるかもしれない。まあ石川さゆりとか、和田アキ子とか歌う人だっていたし、『麦畑』だってそれと同じ感覚だ。
「今度カラオケで『麦畑』を歌いましょう」
と夫を誘ってみた。
「遠慮しときます」
と夫が返事をした。がっくり。夫とのど自慢に出ようと思ったのに。
