40歳の寄り道

某月某日。

7/6 ああ、息子よ

朝、私のぶんと息子のぶん、ふたつ目玉焼きを作る。ひとつは綺麗にフライパンの上に落ちたが、もうひとつは黄身が破けて、べちゃっとなってしまった。目玉焼き作りは占いだと思う。占いというより、ちょっとしたジンクスみたいなものか。黄身が破けてしまうと、テンションが下がり、なんとなくその日は良いことがないように感じる。逆に上手に作れた日は、一日をハッピーな気分で過ごせそう。

綺麗にできた目玉焼きを息子にやり、黄身が潰れてしまった目玉焼きを自分用にする。

朝から授業参観のため、お化粧をして髪の毛にスタイリング剤をつけて、少しおしゃれな服を着てバタバタと支度をしていたら

「これからお出かけ?」

と朝ごはん中の息子に声をかけられた。息子よ、今日はあなたの授業参観です。

犬にジャーキーを与えて留守番をさせ、2時間目の学校へ行く。廊下を歩いていると、以前、PTAのお仕事を一緒にしていた方に捕まり、たわいもない話をしながらお互いのクラスまで行く。休み時間中の教室、息子は仲良しのお友達とモンスターハンターの話をしていた。

息子のクラスは道徳。なんと授業開始のチャイムが鳴っても息子の机の上には、教科書がないではないか。息子は「起立、気をつけ、礼」をしたあと、教室の後ろに立つ保護者をかき分け、自分のロッカーの中をごそごそと探した。そしてごちゃごちゃとして崩れた本やプリントの山の中から道徳の教科書を見つけ出し自分の席についた。ああ、息子よ、そういうことは休み時間のうちにやっておくのだよ…。しかし授業では、たくさん手を挙げて発言をしていた。

2時間目と3時間目の間のロング昼休みに懇談会。夏休みの過ごし方や、今後の行事についてのお話を聞く。

懇談会が終わったあと、さっと帰宅。天気予報では、雨が降ると言っていたが、青空が広がっていた。その後、一日、雨が降ることはなかった。

 

7/5 余裕のある夜

夜、夫が犬の散歩に行こうとするので、私もついていこうとしたが

「君は家のことをやっていてください。やるべきことを分担しましょう」

と、止められた。

いつも犬の散歩から帰ると、皿洗いやら、アイロンがけやら、生協の注文やら、あれやらなきゃーこれやらなきゃー眠いーで、私がバタバタしてしまうのを夫は見ている。夫も犬の散歩後、文句を言わずに家事をやってくれるのだけど、私はどうしてもバタバタしてしまう。仕方なく家で、クイズ番組を見ながら皿洗いをする。余裕のある夜だったが、私も犬の散歩についていきたかった。夜の散歩はとても楽しい。夫と今日の出来事とか、テレビの感想とかいろいろ話しながら歩くのが楽しい。いつも見慣れた風景だけど、夜は全然違う表情を見せてくれることが楽しい。涼しく、人も車も少なく静かで、嬉しそうに舌を出して尻尾を振りながら歩く犬を見るのも楽しい。私も犬みたいに尻尾があったなら振っているだろう。

NHK星新一の不思議な不思議な短編ドラマ』「生活維持省」を見る。とても面白かったので見終わったあと、NHKプラスで「ボッコちゃん」を見る。見ている最中、風呂から上がったばかりのパジャマ姿の夫がやってきて、「これはどういう内容か」と聞いてきた。

水原希子が演じているボッコちゃんは、バーのマスターが作ったロボットでね…」

「この青年は、ボッコちゃんに一目惚れしてね…」

星新一ショートショートは子供の頃から何度も読んだ。でも、うまく説明ができない。

「最後、何が起こったの」

と、夫に問われ説明をした。一生懸命、説明をしたが全く伝わらない。物語のあらすじを伝えることの難しさを実感する。自分の言葉で上手に伝える力を身につけたい。本棚から『ボッコちゃん』を取り出し、私の言っていることを理解できなかった夫に渡す。

「ドラマと原作、少し違うけどこれを読んで理解してください、5分くらいで読めるから」

夏休みは息子にも星新一を読んでもらおうと、Amazonで児童向けの『気まぐれロボット』(角川つばさ文庫)を注文した。読書嫌いの息子が読んでくれるか不安だが、「まずは一日一話読んでごらん」と言って息子に渡そうと思う。

7/3 生菓子は嫌い

「そういえば、お母さんの誕生日だったのに、ケーキを食べなかったじゃないか」

思い出したように息子が言い、夫が近所のケーキ屋さんにケーキを買いに行った。私、生菓子は嫌いなのに。昨日の外食は息子が食べたいものを決めた。私の誕生日は、息子の要求が満たされるまで続くらしい。誰からも「おめでとう」と言われない誕生日だ。

息子と夫はシオーソドックスなショートケーキ、私はトマトゼリー。本当は餡蜜が良かったけど売り切れだった。『鉄腕DASH』を見ながら、もくもくと食べた。私だけが「おいしい、おいしい」と言っていた。犬が目をうるうるさせながら、ヒーンと鳴きこちらを見てきた。君も何か食べたいのかい?特別に犬用のチーズをあげた。

20時、夫と一緒に犬の散歩。夫がリードとお散歩バッグ、懐中電灯を持つ。

「懐中電灯くらい持つよ」

「君はいつも変なところを照らすから自分で持つよ」

「じゃあ、バッグを持つよ」

「自分で持っていた方が、おしっことかうんちとか処理しやすいからいいよ」

私は手ぶらで夫と犬の前を行き、川沿いの道を蛍を探しながら歩いた。暗く静かなこの川には、蛍がいるような気がしたが、見つからなかった。蛍が暮らすには少し水の流れが早すぎるのかもしれない。でも、きっとこれから毎年この季節には、蛍を探しながら犬の散歩をするのだろうな。いつか見つかるだろうか。

帰宅すると息子がYouTubeを見ていた。「宿題は終わったのか」と夫が尋ねると、ランドセルから国語のノートを取り出して慌てて始めた。

7/2 息子のために我慢できるのが39歳なのだ

午前4時55分、スマートフォンのアラームが鳴る。眠い目をこすり犬の散歩に行こうとリビングに行くと、犬がいない。夫の気配もない。お散歩バッグもない。私が起きる20分くらい前に目を覚まし散歩に出かけたようだ。

私も再び眠ろうと思ったが、覚醒してしまい眠れずニンテンドースイッチで遊ぶ。

5時30分、夫が犬の散歩から帰ってきた。休む間もなく庭の草刈りをする夫。ちょっとだけ涼しいこの時間は、ご近所さんも草刈りをしている人が多い。私は冷房の効いたリビングで犬とまったり過ごす。

午前中は動物病院。去勢手術後の健診。犬は絆創膏を剥がされただけで、大袈裟にキャインと鳴き、おしっこを漏らしてしまった。うん、絆創膏をべりっと剥がすのは痛いよね。絆創膏を剥がされた犬の体は、黒い糸でざくざくと縫われており痛々しかった。でも元気そうだし、痛くはないのだろう。

夕方、期日前投票。その後、私の誕生日だったため外食へ。息子の強いリクエストで、おひつごはんの店へ行くことになった。よく行くお店だ。本当は別のお店を私は希望していたのだけど、行き慣れたお店、食べ慣れた味のほうが息子は落ち着くのだろう。

いつも「なんでも良い」と言う息子が「これが良い」とはっきり言うことが珍しい。夫と息子の成長を喜び合い、でもやっぱり私の行きたかったお店が良かったなあと、複雑な気持ちでおひつごはんの店に入った。息子のために我慢できるのが39歳なのだ。

息子は、いくらがたっぷり乗ったおひつごはんを注文。ドリンクバーでは、ココアいちごオレというものをグラスに注いでいた。甘ったるいにおいがこちらまで漂ってきた。息子曰く、アポロチョコのような味がするらしい。息子よ、それは、いくらおひつごはんに合うのかね。

夫は天ぷら蕎麦を注文し、私は唐揚げおひつごはん。ビールも注文しようかと思ったが、やめた。かわりに抹茶わらび餅を注文した。

 

39歳になりました

6月30日に誕生日を迎えたので、ブログタイトルを変えました。来年の6月30日にまたタイトルが変わります。そして、かなり悩んだのですが、ハンドルネームも昔使っていたものに変えました。これからは変えることなくずっとこのハンドルネームで更新し続けようと思います。全く更新していないTwitterのアカウントも削除しました。

39歳、一人でいることが好きな私ですが、たまに友達がほしいと思うことがあります。60代くらいになったら豪華客船に一緒に乗ってくれるような友達がほしいです。PTAや犬、好きなアーティストなどを通じて新たな交友関係を広げていこうと思います。

6/27 犬のいない静かなリビング

犬の去勢手術。前日の22時から絶食。

犬を病院に預けたあと、最近できたばかりのコストコになんとなく行ってみるが、平日にもかかわらず駐車場は満車。コストコにそこまでの情熱がない我が家は、満車の駐車場をぐるっと一周しただけで終わりにする。残念だったが余計なお金を使わなくて、よかったのかもしれない。コストコにそこまでの情熱がないとは言え、行くとなぜか2〜3万も使ってしまうのだ。しかし雰囲気だけは楽しめた。大きなカートに、コストコならではの商品を、どっさりと乗せているのを見ているだけで楽しい。

途中の蕎麦屋で昼食をとり、家に帰って夫と二人で寝る。暑い。寝室の温度計は30度を上回っている。冷房をつけたいが、夫が「節電に協力をしよう」と言って、つけようとしない。窓からぬるい風が入ってくる寝室で眠る。自分の布団で眠れば良いのに、夫が私の布団に入ってきてとても暑苦しい。汗でベタベタする。背中からもおでこからも首筋からも、あらゆるところから汗が噴き出す。身体中が汗で痒い。

耐えられずリビングに行き、冷蔵庫から心太を出して食べる。夫もやってきて、冷凍庫からガリガリ君を取り出して食べた。

「これあげるよ」

と、差し出されたのは、さっきまで夫が食べていたガリガリ君の当たり棒だった。多分、使わず忘れてしまうだろうけど、「ありがとう」と受け取り、手帳に挟んでおく。やがて息子が学校から帰宅。息子も冷凍庫の中からガリガリ君を見つけて食べた。犬のいない静かなリビング。

17時、手術が終わった犬を迎えに行く。レスリングの選手みたいな術後服を着せられ、診察台の上でぼーっとしていた。よく頑張ったと、わしわし撫でてあげた。犬は何が起こったのかわからない様子。

帰宅後、犬は出された餌に見向きもせず、ただひたすらケージの中で寝ていた。

6/25 6月の異常な暑さを憎んだ

商店街で楽しそうなイベントがやっていたので、家族で見に行った。じりじりと暑い。ポカリスエットを持って、濡れタオルを首に巻いて暑さ対策は充分なはず。なるべく日陰を選んで歩くようにした。疲れた時は冷房のある建物の中に入って休んだ。しかし、息子は文句ばかり。

「だっる」

「早く帰りたい」

「くそつまんない」

息子が退屈しないようにと、夫と二人で一生懸命気遣うが文句が止まらない。自分だけでも楽しんで見て回る。そうすれば息子も楽しんでくれるかもしれないと思ったが、不機嫌な息子。次第に私もイライラしてしまう。

多くのブースが出ていて、とても賑やかだったが、ちらっと見るだけで何も買わずに商店街の端から端まで歩いた。息子と同年代くらいの子がイベントを楽しんでいる姿を見るたびに、どうしてうちの子は…と、少し残念な気持ちになった。私だって子供の頃は、親と一緒にこういうイベントを見て回るのがとても好きだった。6月の異常な暑さを憎んだ。

「久しぶりに商店街に来たんだし、たまには外食でもしようか」

と提案したが、息子は「早く帰りたい」と言い、夫は「家で留守番している犬が心配だ」と言った。二人とも最近そればかりだ。息子はそのうち親と出かける機会が少なくなるだろうが、夫の「犬が心配」という言葉は、あと何回聞かされるだろう。確かに犬は、めちゃくちゃかわいいが、外出する度に「犬が心配」と言われたら少しうんざりしてしまう。もう少し落ち着いたら、犬をペットホテルに預けて、旅行でも行こうかと夫と話しているが、犬が心配でたまらない夫と旅行など行けるだろうか。

帰宅。

冷房の効いたリビングで、夫は犬と遊び、息子はスマホゲーム。私は台所で、冷凍庫の中にあったピザを焼く。もやもやする。今から夏休みが不安。海行って、山で虫取りをして、庭でスイカ割りをして、夜は花火をして…みたいなギラギラした夏休みを息子に過ごさせてあげたいのに、スマホYouTubeとゲームで夏が終わってしまいそう。今から計画立てよう。インドア派な私でも夏を満喫したいのだ。